時代が使い捨て文化全盛だからこそ、着込んだ服が良く見える。

ミニマリズム

これまで見たこともないような低価格のプライスタグを見て驚くことも少なくなった。産業のグローバル化は進み、一つのシャツが世界を転々とし我々のもとへやってくる。もはや自分達の服は、自分達の手で作らないし、作る事も許されない。

消費者としては嬉しいが、そんなあなたも生産者だ。物価が下がればそれだけ労働者へ支払われる対価は目減りする。今のままでは賃金は今後増えないと皆感じているし、その思考は具体的に世相となって先行きを暗くする。なんだか贅沢な洋服も買う気すら起きずバカバカしくなってくる。今はそんな時代。

 

服は自分で直すもの?

 

私が最近驚いたのは、90歳近い祖母が自分の服を自分でリサイズし着ている事を知った事。祖母は身長が低く腕が短い為、現代人向けにグレーディングされた洋服では、袖や肩が余るのだ。どうやら、これまで買った洋服の殆どを自分で直してきたらしい。

そして私がその事に驚くと、そんな事は私の世代なら出来て当たり前だと軽く言い放った。私は戦前の日本人が服の裁縫(主に和裁)を一般教養としていた事、並びに自分で出来る事は迷わず自らの手で行う。という精神を日本人に想像していなかったので、とても驚いた。

 

ファッションは反逆の文化

 

ちょっとカッコいい言い方をしてみたが、要するに生命のバイオリズム同様、ファッションには波がある。ファッションという言葉自体が『流行り』を内包しているし、その傾向を顕著に言い表したのがトレンドである。

ファッションのトレンドとは、何も流行りの色や型だけを示す言葉ではなく、広義にはライフスタイルや消費動向もトレンドだ。

2017年現在の最たるトレンドは『とにかく安く買い、モノを粗末にする事』だ。大衆は無自覚ながら、大した考えもなく安い服を買い漁り、まだ着れる状態にもかかわらず服を使い捨てる。(着ないでしまってある状態は捨てたも同然だ)そして、また新たに安い服を買う。
モノを大切に考えている。という人たちも、可能ならば子や孫にまで引き継がせよう等とは考えもしないだろうし、修理を重ねてまで使い続ける事は稀だ。なぜならそんな事をしなくても、物はあふれているし、新しく買った方が経済的に効率がいいと知っているからだ。

 

カウンターカルチャー

 

私はこの記事で、そんな使い捨て社会に警鐘を鳴らし、環境保全を呼びかけたいのではない。

過去、ファッションという文化を世界的に見返すと、一方に傾けば傾くほどに、その反動としてのカウンターカルチャーが各地で起こっている。今の使い捨て社会もどうせ、そう長くは続かないだろうし、そろそろ大衆もこのループに嫌気がさし、飽きて来たころだろう。

今年30歳になる私。ちょうど私の祖父母等の世代が『戦争』という社会情勢により否応なく極度の『耐久修理』社会を経験した。今後、新たな何らかの因子をきっかけに『使い捨て』の世の中が一変し、消費のパラダイムシフトが起こる可能性は充分にある。

 

ミニマリズムの台頭

 

日本では2015年頃から一般化し始めたミニマリズムの価値観だが、

私はこれこそが『モノを大切にする』という次世代トレンドの潮流であり、その序章になっているのではないかと考えている。

 

ミニマリズムに関しては、その発端となったこの本書にすべてが書かれている。

 

 

 

 

大衆は『使い捨て』、最先端は『使い込み』へ

 

トレンドの起こりとして、インフルエンサー達は常に大衆に逆行する形の行動をとっている。

そこにビジネス的な意図が介在しているかどうかはさておき、大衆に迎合しない姿勢こそが彼や彼女らをインフルエンサーに仕立て上げるのだ。

ファストファッションの流れ以前にあった『裏原・ドメブラブーム』では、プライスやイメージは今と真逆のハイエンド路線だったし、ファストファッションで個性を発揮出来ないとなれば、次は高級品の使い込みに流れが来るのではないかと予想する。

 

ファストファッションの意味

 

そもそもファストファッションという意味自体、早い流行手軽なプライスそれに伴う早い供給を意味している言葉だが、実際の市場ではトレンド路線よりも流行りの影響が見えにくいベーシックな型や色を選ぶ人が増えており、もはや何がファストなのかが分からない。

ユニクロが強い理由もまさにそこで、適度なトレンド感は取り入れつつ徹底してベーシックの作り込み、即ち定番の創造を怠らない。ユニクロはファストな価格帯でありながら、スローな客層も取り込めているのが強いのだ。

もう既に、早いトレンドを安価に使い捨て追いかけるのか?それとも、ベーシックでハイクオリティーなものを使い続けるか?この2択において、後者を選ぶ人が増えてきている。今はそのベーシックがユニクロ止まりだが、より上を見るようになる若者や30代、40代も今後は徐々に増えてくると予想する。

私は今まさにそんな気分で、『一つの服を新品から擦り切れる(Worn)まで味わう。必要最低限の数量しか持たない。』こんな価値観で洋服を見ている。まさに、これまでの超消費型ファッションとは逆行した路線だ。

スティーブジョブズではないが、自らのキャラクターにとって欠かせないような『逸品』に出会う事を常に目的としているし、毎日着れてそれが快適となれば少々奮発したとしても価値がある。そしてその奮発こそが使い込みに繋がる。

これは人間心理の話だが、人は大昔から金で物の価値を推し量って生きてきた。慣れは簡単に払しょくできるものではなく、安価で手にすると粗末に扱うように、人はモノを得るために支払った対価のデカさでしか、モノの価値を感じられない性格に出来ている。でなければブランド産業など、疾うの昔にこの世から消滅しているはずだ。

結局、『いつでも、どこでも、誰もが持ち得る安価な洋服』は、そっくりその理由によって自ら価値を損ねてしまう。

 

 

 

まとめ

 

偉そうに色々言いましたが、超個人的なマイブームのお話でした笑

それではまた!