スーツはカジュアルと違って体にフィットしなければならないのでオーダーするって話

ファッション

Youtubeでファッション関連の動画を探していたところ、M2PLANT オーダースーツチャンネルという関西のテーラーが運営しているチャンネルを見つけました。

早速いくつかの動画を見させてもらったのですが、関西のノリでスーツを語っておられて楽しい雰囲気がとても良いですね。私もオーダースーツが作りたくなりました。動画は人柄が出やすく、見ている人に共感を生みやすいので仮に内容自体はチープだったとしても暇つぶしになったりと『楽しむ』というのに最も適したコンテンツではないかと思います。M2PLANTさんはスーツ屋さんなのでスーツにまつわるハウツー系の内容が多いのですが、知識がない人が見るなら、ブログで文章を読むよりも動画の方が理解しやすいと思いますし、これからもハウツー系の内容がYoutubeで充実してくる流れになるんでしょうね。見た中で面白かった動画をいくつか貼り付けておきます。

 

 

 

 

 

スーツは既製服か?オーダーか?

 

ビジネスでスーツを着ている方も、冠婚葬祭などかしこまった時にしか着ない方も、男の人生では最低2着のスーツが必要なんではないかと思います。(一つは喪服として着るスーツ。もう一つは結婚式などで着るスーツ)

既製品にも様々なブランドがありますし、仕立て屋も様々なので一概には言えないと思いますが、私はスーツに関してはオーダーが良いのではないかと思っています。

 

理由その1:オーダーの価格が下がってきている

 

↓こちらの動画でも詳しく説明されていますが、スーツの起源はイギリスの注文服(ビスポークテーラリング)です。今でもイギリスのサヴィル・ロウやイタリアのナポリでは昔ながらのサルト(仕立て屋)が現存するようですが、そのような個人店規模で製作される注文服が始まりなのです。

レディメイド(既製服)との大きな違いは、

  • ほぼすべての工程を職人一人で行う事
  • 型紙がない事
  • ミシン縫いをせず、手縫いで行う事
  • 発注と納品の間に『仮縫い』という試着が入る事。

等々、『究極に体系にフィットした服を完成させる』という目的のために、職人は熟練の技術を駆使し、顧客は店に通ったり採寸などの労力を惜しみません。そうして究極の1着を完成させるわけです。もちろん熟練工が何日がかりで作るわけですから価格も超級になります。

 

 

それが今や、工業化が進み既製服が当り前の時代になって、日本でも街のテーラーはほぼ死滅状態です。元来通りの1から100まで一人の職人が請け負う注文服はなかなかお目にかかれませんし、そういう技術を持った職人がそもそも育たない環境です。私の専門学校時代のパターンの講師がテーラーの2代目で、幼いころから家の手伝いで学校から帰ると縫物をしていたという話を聞いて、職人の育つ環境を少し想像しましたが、需要が無いとはいえ少し寂しい話ですね。

そうした中でM2PLANTさんのように何とか工夫し、工賃を下げ、中間マージンを削り生き残っているお店があるわけですが、そのような業態が扱っている注文形態がイージーオーダーやパターンオーダーと言われるやり方です。詳しい説明は省きますが、要は注文服と既製服のいいとこどりのような手法で、スピーディーで価格もグンと下がります。(動画内でおっしゃってますが、最安値で¥16,000からスーツが作れるそうですよ!驚愕ですね。)

これなら既製品代表の”AOKI”や”洋服の青山”とも比較できるような価格です。

 

理由その2:スーツの美学が体に合わせる事だから。

 

私がスーツはやっぱオーダーがいいなと思う二つ目の理由として、

”スーツ”は体に合わせる服だから。というのがあります。そんなの当たり前じゃないか!と思われるかもしれませんが、実は十人十色の体形に対して、その人だけに合わせる事を目的とするか、ある程度様々な体系に合わせる事を前提とするかで洋服の作りは大きく異なるのです。

これを説明するにあたり、比較対象として、リーバイスが作ったデニムパンツや、米軍の戦闘服(BDUやM-65等)を挙げたいと思います。両者の違いはパッと見て分かるのは、見た目の色合いや動きやすさ、カジュアルさだと思いますが、そもそもこれらの服の出自の違いこそが、完成系に大きな違いをもたらしているのです。

スーツは先ほども申した通り、注文服の代表格です。と同時にフォーマル、ドレスといった綺麗でかしこまった服の代表でもあります。

それに対し、既製服の代表はデニムパンツやミリタリージャケットなわけですが、これらはカジュアルの代表でもあり、戦闘服やワークウェア(作業着)、アウトドアウェアー(狩猟や登山)、スポーツウェアー等のアクティブシーンが元となって作られた服なわけですね。

これが現代の服装にどのような違いを与えているかというと、所謂『サイジング』と呼ばれる体系へのフィット具合に現れる部分なんですね。

洋服の型紙を作ったことがある方であれば、ある程度理解できると思いますが、スーツはとにかく曲線が多く、パターンも複雑で、体に合わせた立体的な作りを良しとします。接着芯、毛芯、肩パッド等もスーツ特有の物ですし、生地は異なる曲線同士を縫い合わせる事によって浮き上がり、立体を形成するわけですが、アイロンで生地を曲げる”くせ取り”という技術もテーラーならではの技です。それぐらいに曲線へのこだわり、即ち人体の立体に合わせるこだわりこそがスーツだと言えます。

反対にデニムパンツやミリタリージャケット等はカッコ良く着るのが当初の目的では無かったでしょうから、体には最低限合っていれば充分で、後はドローストリングスやシンチバック等で補正をして着る事で万人が着れるように工夫した形跡が見てとれます。衣服としては兵士や労働者の体を守る意味合いが強く、いかに安く大量に生産する事が出来るかが重要だったのだと思います。パターン自体も簡素化されており、長方形の反物(生地)から無駄なくパーツをとる為に、とにかく直線が多く、スーツと比べるととても単純な作りとなっています。(結果としてその武骨さがカッコよく見られているわけですが。)

これが仕上がったときにどう違うかと言うと、スーツは立体の造形なのでカーブが合っていないと悪目立ちが激しいわけです。容赦なく極端に不格好に見えます。しかし、デニムパンツやミリタリージャケットは着方次第ではそうとも限らないわけです。

上手く説明できているか分かりませんが以上の2つの理由から、私はスーツは既製品ではなくイージーオーダーであれ、自身の体形を採寸して作った注文服の方がカッコいいのではないか?と思うに至ったわけです。

また書きます。

それではまた。